人×旅×道産品 エピソード

2021/06/03

第1回の旅 札幌からほど近い「空知(そらち)」で、ワインづくりに人生を注ぐ人々に出会う旅

「人×旅×道産品」では、旅の切り口から、道内生産者や道産品との出会いのストーリーを連載していきます。
北海道百科と同じ道内企業の仲間で、北海道の楽しみ方を隅々まで探求されている「株式会社北海道宝島旅行社(https://hokkaido-takarajima.com/)」さんのご協力で連載して参ります。 
「旅」から見る北海道の「食」もよし。「食」から入る「旅」もよし。
とにかく、記事を通じて空想の世界でディープな北海道旅行を楽しんでみてください。
そして、体感したくてムズムズしたら、下記リンクからツアー企画をのぞいてみてくださいね!




さて、第1回の旅は、札幌のお隣の地域「空知」を訪れました。
この地域は、近年、ワイン生産で知られるようになっています。

北海道でも有数のワイン生産地「空知」

「空知」は、札幌の北、北海道の中央部よりやや西のエリアです。東西約70km、南北約130kmに及ぶ広大な内陸地帯で、全道面積の約6.9%を占めており、総面積は約5,791平方キロメートル。24の市町村に約31万人が暮らしています。中央を石狩川が縦走し、南西部にかけて広がる豊かな石狩平野では稲作を中心とした農業が盛んです。
その中でも注目を集めるのが、ワイン。ワインの産地として知名度を高めつつある北海道において、空知には現在6つのワイナリーと数多くのヴィンヤード(農園)があり、北海道を代表するワインの生産地となりました。

 

かつて海だった土地が、特徴的なワインぶどうを育んでいる

今回訪れたのは、岩見沢市と三笠市です。この地域は太古の昔は海だった場所です。海のミネラルを豊富に含んだ土があり、そこに住まう人々はこの恵みを活かして暮らしを営んできました。
中でも、ワインに影響を与えるのはぶどう畑の日当たりです。海が隆起して空知のなだらかな山々ができたといわれていますが、その斜面はいろいろな方向を向いていますよね。例えば、岩見沢市東部は石狩川の下流右岸にあり、東に山がないために朝日が当たる時間が長くなりますが、夕暮れが早いのだそう。反対に、三笠は石狩川の下流左岸に位置し、南西向きの斜面をもっているため、朝日が遅い代わりに夕日が長く当たります。このこともワインの味に違いを生むといいます。
 
実際にその生産地を見てみたい!
そこで、岩見沢市東部にある『宝水(ほうすい)ワイナリー』と三笠市の『山﨑ワイナリー』へと向かいました。

三笠市の達布山展望台から札幌方面を見た風景。

「雪」が持つ凛とした美しさを表現したワイン ― 宝水ワイナリー

札幌を車で出発して、高速道路で約40分。岩見沢ICから市街地を抜け、いくつかの小山の谷間をゆくと、赤い屋根の建物が見えてきました。第1の目的地、『宝水ワイナリー』です。
到着すると、代表取締役社長の倉内武美さんがトラクターで施設へ戻ってこられたところ。思いがけず、たくさんのお話を聞くことができました。

  • 大きな通りから丘を背景に、木造のかわいらしい建物が見えます。
  • 社長の倉内さん。穏やかな笑顔で迎えてくれました。

宝水ワイナリーは、この土地で代々農業を営んできた倉内さんが、他地域のワイナリーへ出荷するための原料としてワインぶどうを栽培していたことに端を発します。当時の岩見沢市長が通りがかり、そのぶどう畑の美しさに惹かれたことで、岩見沢でのワインぶどう栽培とワイナリー設立の事業が始まりました。
それからぶどう畑を増やし、ワインをつくり始めてから約15年。
自社農場で栽培したぶどうのみを使ったブランド「RICCA(リッカ)」シリーズを中心に、北海道内でも人気のワイナリーとなりました。
その秘密は、雪にあります。北海道でも豪雪地帯として知られる岩見沢の雪は、冬の間、ふかふかの布団のように、ワインぶどうの木をやさしく包み込みます。豪雪は日常生活においての苦労もありますが、宝水ワイナリーのワインづくりを支えているのです。

しかし近年の積雪量の減少や、爆弾低気圧による雪害などは、農作物であるワインぶどうにも影響を与えています。今年も、雪の重みで折れてしまったり、雪が少ないために冬の低温にさらされ凍害にあったりしたぶどうの木の植え替えが必要なのだとお聞きしました。
 
RICCAとは「六花」、つまり雪のことを指します。ですから、「RICCA」のエチケットには雪の結晶が描かれています。

  • 特別に醸造スペースにもご案内いただきました。撮影時はスパークリングワインの製造中でした。
  • スパークリングワインは、瓶を逆さに置いて澱を口元にためた後、その部分だけを凍らせて取り除き、透明感を作り出しているそうです。

そんな苦労もありつつも、ワイナリーの立ち上げのころから、今までの思い出話を楽しそうに話してくださった倉内さん。「もう私もいい歳だからね。後を任せられる人を探している。そして私のこれからの仕事は、このぶどう畑をできるだけいい状態で、その人に引き継ぐことです」 
そう笑いながら、農業に就いたときから乗っているという「40歳のトラクター」に乗って畑に戻っていかれました。

店舗情報 株式会社 宝水ワイナリー
住所 北海道岩見沢市宝水町364-3
営業時間 10:00~17:00(1~3月は毎週水曜定休)
TEL 0126-20-1810
URL https://housui-winery.co.jp/

家族で造る、三笠の風土が凝縮されたワイン ― 山﨑ワイナリー

続いて、もう一つの目的地『山﨑ワイナリー』へ移動します。三笠市街地から車で10分弱という好立地。空知平野を見渡す達布山(たっぷやま)のすぐそばにあります。
達布山の頂上には展望台があり、山﨑ワイナリーはもちろん、空知平野を一望できるばかりでなく、なんと50kmほど離れた札幌ドームが見える位置にあります。つまり、札幌から北上したときに、最初にぶつかる山がこのあたりということになりますね。

  • 達布山展望台の木々の間から、隣の丘の上にある山﨑ワイナリーが見えました。
  • 展望台への道は美しい桜並木!

山﨑ワイナリーは、この地で4代にわたり農業を営んでいる山﨑家の三代目・和幸さんが、1998年にワインぶどうの栽培を始めたのがはじまりです。日本で初めて農家として醸造免許を取得し、2002年には『有限会社山﨑ワイナリー』を設立。自社農場で栽培したぶどうだけを使い、質の高いワイン造りを続けています。
 
ショップに入ると、山﨑家次男で栽培担当である太地(たいち)さんが迎えてくれました。
太地さんは「ワインを造るのは地域のため」と考えている方。
地元の人たちが、ワインの産地で生まれ育ったことを誇りに思ってくれることを目指し、小学生の見学や、三笠ジオパークのツアーなどを積極的に受け入れています。また、空知全体でのワイナリー周遊ツアーを企画運営するなど、地域を挙げたワイン文化の盛り上げのために、さまざまな取り組みを行っています。
 
栽培担当の山﨑太地さん。日によく焼けた笑顔が魅力的な、若き生産者です。
 
まずは、この地域の食材を使った料理に合わせることを伝え、ワインを1本選んでもらうことに。
太地さんが勧めてくれたのは、山﨑ワイナリーの代名詞ともいえる1本、「ソーヴィニヨン・ブラン」でした。
 
「さわやかな飲み口で、食中酒にぴったり。今日のような、春の三笠の緑や風を思い起こさせてくれると思います」

  • 山﨑ワイナリーは、日本ワイナリーアワードにて2019年から3年連続で5つ星の評価を受けています。
  • 2020年春にリニューアルオープンしたショップ。通常時はカウンターで試飲も可能です。

太地さんは、自社のワインのことを「三笠の風土を凝縮させたワイン」と表現します。
ワインは、地球上で唯一加水せずに作られるお酒。つまり、三笠の土や風、気温や湿度、日当たりなどをまるごと味わうことができるというわけです。
ワインを納めた箱とともに、太地さんが2枚のポストカードを渡してくれました。

山﨑ワイナリーのぶどう。同社では自社農場で自ら育てたぶどうだけを使ってワインを造っています。


「ショップカードは、やめちゃったんです。以前はいろいろな賞をいただいたことや、ワインづくりへのこだわりなんかを書いていましたが、そういった情報がなくとも、自信をもってお出しできるものを造っていますから」
 
真剣な表情で渡されたワインを大切に抱えて、帰路に着きました。
店舗情報 有限会社山﨑ワイナリー
住所 北海道三笠市達布791-22
営業時間 10:00~17:00(土日・祝日のみ営業。11~4月は16:00まで)
TEL 01267-4-4410
URL http://yamazaki-winery.co.jp/

岩見沢・三笠の魅力をたっぷり味わえる食卓

持ち帰ったワインを存分に楽しむために、空知の食材で休日の食卓を用意しました。今回準備したのは、岩見沢市の『市川燻製屋本舗』の「鯖のスモーク」、「エゾ鹿肉の燻製」、「とうふ&ちーずのスモーク」の燻製3品、そして同市『ノースファームストック』の「北海道ハニーナッツ」です。
それぞれに少しずつ手を加えるだけで、特別な料理になりますね。
 
ドライブの思い出を語りながら楽しむ食事は格別!
北海道にもようやく訪れた春の休日をゆったりと過ごすことができました。

6月に入ると、ぶどうの木に青々とした葉が茂りはじめ、ぶどう畑の景色は一変します。やがて小さなぶどうの赤ちゃんがつき、手塩にかけて育てたのち、暑い夏を超えた9月の中ごろから収穫が始まります。
収穫体験や、お手伝いをさせてくれるワイナリーもあるんですよ。自分が摘んだぶどうがその年のワインになって、誰かの食卓を彩るかもしれない――それはとても素敵なことだと思いませんか?
 
刻一刻と変化する北海道のワイナリーの四季を、皆さまのお好きな形で楽しんでくださいね。
 
※情報は、2021年5月末日現在のものです。
※新型コロナウイルス対策のため、営業時間等が変更になる場合があります。

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(札幌)八剣山ワイナリーで楽しむワイン&地元の食材ランチ《札幌からの送迎つき》

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(岩見沢)市川燻製屋本舗
(岩見沢)白亜ダイシン

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